第63話 池袋見送り計画編

翌日の11月24日は、実は僕の誕生日だったのだが、この一連のアメリカ旅行後の計画をしているうちに、いつしかその事を忘れてしまっていた。

この日僕は出社日だったので、起床後すばやく仕度し、僕達2人は朝8時には家を出てバスに乗り込んだ。

もしかしたら、これが最後になるかもしれないと思えば思うほどに、僕等を取り巻く空気は重くなった。何か切り出さなければならないが、どんな事から切り出すのが自然なのか全く検討が付かなかった。

そうこうしているうちに、バスは大和駅に到着してしまい、僕等は足早に新宿方面行きの小田急線に乗り込んだ。

電車の中にて、ニックスがこの日辿るルートの確認と、簡単なアドバイスは行ったのだが、やがて、電車は僕の仕事場の駅に到着してしまい、挨拶もままならないままお別れを迎えてしまった。

その後、仕事場で作業を開始するが、何をするにも仕事が手につかなくて、何としてもこの尻切れトンボの状態を打開したいとばかり考えていた。

思いの他、その答えはすぐに見つかった。

意外と簡単な事だった。

ニックスがシンガポールへ帰国する11月26日(土)に彼を見送りに行けば良いのだ。

という事で、仕事場から家に帰ると、すぐにニックスにメールを打った訳だが、日本には公衆ワイヤレスLANが使用できる場所は限られていて、それまでにニックスがメールを見られる保障はどこにも無かった。

幸い、ニックスからその日のうちに返事が帰って来て、池袋までだが、当日はヒデヒトさんとアツコさんも一緒に、ニックスが成田エクスプレスに乗車するところまで見送りに行く事となった。

実は、ニックスを見送りに行く翌日にはTOEICの試験が控えていた。

正直言って、4ヶ月程前に受験したTOEICでスコアが550点と伸び悩んでおり、それ以来、仕事が鬼のように忙しくなってしまった関係で、TOEIC対策が全く思うように進んでいなかった。

さすがに直前くらいはしっかり対策したいなと思っていた訳だが、「ニックスを見送りに行く」という事と、「TOEIC対策をする」という事を天秤にかけた時に、僕は思った。その二つを両立するような方法があるのではないかと。

例えば、参考書や問題集などでTOEIC専門の対策をするのが、必ずしもTOEICのスコアに結びつくとは限らなく、日本にいるとなかなか体験できない「実戦」にこそ、真のTOEIC対策への布石があるのだと僕は思う。

もしそうだとすると、「ニックスを見送りに行く」=「TOEIC対策をする」というシンプルな構図が出来上がり、僕は天秤にかける対象を見誤っていたという事になる。

現に、僕はこの時受験したTOEICのスコアは645点と、前回より100点近く伸ばす事が出来た。ほとんどTOEIC専門の対策をせずに。

今回のアメリカ旅行においても、会社の客先に無理言って6営業日分の有給を取得して無理やり断行してしまった為、その旅行の前後は溜まっている仕事に追われ、それこそTOEIC対策どころではなかった。

そんな中で、僕がそのリスクたっぷりのアメリカ旅行に踏み切ったのには、こそこそと日本で参考書ベースの学習を進めるより、もっとダイナミックにアメリカ旅行でそれ以上の成果を持って帰ってきてやる!という意気込みがあったからだ。

結局、TOEICを始め、その他数多くある英語テストのスコアを伸ばす一番大きな秘訣は英語のアレルギーをなくす事にあると僕は思う。

TOEICで高得点を狙おうとした時に必ず立ちはだかってくるのが「時間」で、リーディングセクションでは特に短時間で多くの問題を解く「スピード」が要求される。「あぁ、長文問題だ・・・」と怖気づいた時点で、致命的な時間のロスが発生してしまうのだ。

こういった英語アレルギーをなくすには、英語を勉強して学ぶという考え方ではなくて、英語を使って実生活の中で実戦していける環境を作るという事が一番近道なのだと、今回の体験を通して僕は確信出来た。

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