衆院選2012(26)【憲法改正】積極的な非武装平和主義:コスタリカの例

昨日は、自民党の憲法改正案で大きく変わる点の1点目について書きました。

1.国家の体制を縛り国民の基本的人権を護るために存在した憲法が、国民を縛るものにもなる
2.軍隊を正式に持ち、集団的自衛権を容認する

今日は、2点目の「集団的自衛権の容認」の部分について書こうと思います。

今年は、日中韓の「尖閣諸島」「竹島」の領土をめぐる問題、対ロシアの北方領土問題、また、北朝鮮のミサイル問題と、日本は周辺各国との外交・安全保障の問題が噴出した(している)年になりました。どれも喫緊の問題であり、素早い対応が求められます。

それだけに、日本の武装論や徴兵制が出て来てもおかしくはないと思います。自民党が提出している憲法の改正案では、自衛隊を「国防軍」という正式な軍隊に昇格させ、武装国家とすることを謳っています。良くも悪くも、日本は右傾化していることは確かです。

世界恐慌下では、世界全体が右傾化する傾向があります。「右傾化」とは、各国が「国家主義(ナショナリズム)」に走ること。その流れが行き過ぎると、帝国主義化する国が現れ始め、戦争が起こりやすくなります。1929年に始まった世界恐慌の時も、世界全体が右傾化しました。そのとき、日本は帝国主義化し、周辺各国を侵略し始め、世界大戦を引き起こした国の中の一つとなってしまいました。

喫緊の問題を解決するのに軍隊は必要かもしれません。それは、有効な解決策の一つではあると思います。それに反対するなら、他の対案を示さないと話にならないでしょう。

ただ、「軍隊を持つ」ということがベストだとは限りません。軍隊を持って牽制し合うのが最終的なゴールなのでしょうか?もっと先のことを考えると、もっと違った未来を思い描かないといけないと思います。その未来に近づくために一時的に軍隊を持つのであれば、みんな納得するのかもしれません。

現在、日本の他に、非武装平和主義を貫く数少ない国の中に、中米のコスタリカがあります。コスタリカは、1948年の内戦が終わるまで、他国と同じような武装国家でした。

以下は2007年に書いた「日本の平和憲法が機能する条件」からの抜粋です。

当時、腐敗を極めていたカルデロン政権に言論弾圧を受け、メキシコに追放されたフィゲーレスが、社会民主党を組んで政権に挑み、選挙無効などの独裁的な手段に出る政権に対して武装発起しました。内戦は6ヶ月ほどで終結し、約2000人の犠牲と引き換えに、コスタリカは、民主主義と軍隊を廃止する平和憲法を手に入れました。

僕は、この戦争については、肯定も否定も出来ません。

ただ言えることは、この約2000人の犠牲の責任は、コスタリカがこんなにもぎりぎりの選択を迫られるような状況になるまで放っておいた世界中の人々にあるということです。

幸運にも、僕たちの国には、平和憲法も民主主義も既にあります。
それらを勝ち取る為に内戦を起こさざるを得なかったコスタリカとは大違いです。

でも、今は「平和憲法」も「民主主義」も、ただあるだけです。
あるだけで、ほとんど機能していません。
僕達は、その掛け替えのない機能を尽く無駄にしてしまっているんです。

ノーベル平和賞を受賞したコスタリカのアリアス大統領の積極的な和平交渉は、グァテマラのエスキプラスで中米5カ国の大統領のサミット会議を皮切りに、政治犯の恩赦、グァテマラ、エル・サルバドル、ニカラグアの内戦の和解、外国からの反政府ゲリラへの支援の停止、ニカラグアの民主主義的改革と自由な選挙の準備などについて包括的な合意を得ました。

そのアリアス大統領を支持したのは他でもないコスタリカ国民です。
アリアス大統領が候補者として出馬した1986年の大統領戦では、アメリカからの関与のある軍備増強路線のカルデロン候補が選挙選を有利に進めていたそうですが、結果的に、非武装平和主義の維持をはかるアリアス(国民解放党)が勝利し、コスタリカ国民は非武装平和主義を貫く姿勢を示しました。

こうして民主主義を最大限に機能させ、政治を通して鍛えられた平和主義を世界に示すことこそが、非武装平和憲法を持続可能にするのです。

自民党の目指す方向性は、有効な一手段になり得るとは思います。ただ、個人的にはベストには成りえないと思う。恐らく、10年後の未来くらいしか見越していません。

今必要なのは、100年後以降の真に平和な日本の姿を思い描くことだと思います。コスタリカが目指したような、国際社会に浸透するような積極的な非武装平和主義は一つのゴールの形になり得ます。そういったゴールをしっかり見据えた上で、必要なステップを踏んでいきたいですね。

 

[追記]

勉強不足で、近年のコスタリカがどうなのかは正確に把握できていませんので、本文に書いたのはあくまでも1980年代前後のコスタリカの姿です。下のコメントも参考にしていただき、それも踏まえて、各自で判断すればいいと思います。

どちらにしても、こういった憲法の根幹部分を変えるには長い年月がかかるらしい(次の衆議院の任期中でも変えられない?)ので、その間に、現憲法のままで周辺諸国との外交・安全保障問題を解決に向かわせるような手段をひねり出すのが一番なのかもしれません。

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「衆院選2012(26)【憲法改正】積極的な非武装平和主義:コスタリカの例」への2件のフィードバック

  1. コスタリカは軍隊レベルに武装した”警察”と、アメリカ軍の保護、徴兵制がありますよ。

    なにが非武装中立だ。”武装”中立に書き直せwwwwww

    1.  >Rezanov88さん、

      情報ありがとうございます。勉強不足で、コスタリカに非常時の徴兵制があるのは知りませんでした。その徴兵制って1948年に制定された憲法の時から同じかご存知ですか?

      また、コスタリカが立派な武装国家だとして、日本が目指すべき100年後の姿はどんなものだと思いますか?日本も周辺諸国も軍隊を持ってけん制し合ってるのか、それとも、どの国も軍隊を廃止しているのか、その他なのか。

      ご意見を伺いたいです。

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