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初級アメリカクエスト -アメリカ西海岸縦断編- 前書き

この本は、僕が2005年11月3日より9日間(+α)かけて体験したアメリカ西海岸縦断の一人旅の記録です。

9日間という短い期間ではありましたが、縦断ルートとしてはサンフランシスコ→ロサンゼルス→ティファナ(メキシコ)→サンディエゴ→シアトル→ バンクーバー(カナダ)と、アメリカ西海岸の主要都市をほぼ制覇するというものでした。これだけの都市を9日間で回る人と聞けば、皆さんは海外一人旅に慣れている人を思い浮かべるかもしれませんが、僕はこの時、仕事をしながら英語を勉強中の26歳の一介のサラリーマンに過ぎませんでした。

海外旅行経験はと言えば、これまで姉に任せっきりのハワイ旅行しかありませんでした。英語力はと言えば、知り合いが自営業で運営している英会話スクールに2年程通ってはいましたが、この時の僕のTOEICのスコアは550点と、とても微妙なラインでした。実際、TOEICで550点と言えば下から数えた方が早いのです。

そんな何をするにでも中途半端な僕をアメリカ一人旅に駆り立てたものは、近い将来に計画している「アメリカ留学」への想いでした。アメリカ留学を決意した理由は、日本の大学生活を無駄にしてしまったという個人的な後悔からでした。日本の大学を責めるつもりはありませんが、僕は貴重な大学の4年間をだらだらと過ごしてほとんど何も得られないまま卒業を迎えてしまい、今となってはこの事実が僕にとっては一生の後悔に繋がってしまいそうで、やり直すなら今しかないと思い立ったのです。

何故にアメリカなのかと言うと、そんなに明確な根拠があった訳ではないのですが、単に留学するなら教育の国と呼ばれるアメリカにしようと決意したまでです。

今回の旅は単にその下見という程度で考えていたのですが、僕はこの旅で考えられない程多くの障害に直面し、その都度試行錯誤しながら全力で乗り切って来ました。下見に過ぎないと生ぬるく考えていた僕にとっては、全く想像に及ばなかった程です。

しかし、僕の経験した一つ一つの障害は、一般的に見たらそんなに言うほどたいしたことはなく、海外旅行経験が豊富な方にとっては、何もなかったかのようにそのまま通り過ぎてしまうくらいの障害だと思います。ですので、最初に言っておきたいのですが、この世に数多く存在する壮絶な自伝本と比べてしまえば、この本にはそんなに大それた事は書かれていません。僕が描きたかったのは、僕の立場、僕の目線で実際に体験して感じたアメリカ一人旅です。出来ない人がやるからこそ、些細な事でいちいち壁にぶつかり、その壁を乗り越えようと試行錯誤する過程でこそドラマが生まれると僕は思うのです。

ほとんどの日本人は僕と同じように海外旅行経験に乏しく、英語も国内でかじった程度だと僕は思っているのですが、僕はその大多数の日本人の目線で見る事が出来ます。そんな中から僕は一歩踏み出してアメリカへ一人で旅立ちました。何もその事を「すごいだろう!」と鼻高々に語るつもりはありません。う?む、ちょびっとはあるのかもしれませんが、皆さんに一番感じてもらいたいのは「僕に出来ることは、皆さんにも出来るということ」です。

この本を読んでみて、「自分もやってみたい」と感じる人もいれば、漠然と「面白そうだ」とだけ感じる人もいるだろうと思います。中には、「こんな経験は絶対にするもんか」と決意を新たにする人もいるかもしれません。皆さんにとって感じ方は違うと思いますが、この本を読んだ事によって、皆さんがアメリカという存在にぐっと近づくきっかけを得る事を、僕は願って止みません。

僕達日本人にとって、アメリカは決して遠い存在ではありません。アメリカでは、たった今も日本と同じように現地の人々による「現実の世界」が進行中です。何もアメリカに限った話ではありませんが、日本という島国にいると外国で起こっている様々な出来事が、テレビの中の映像の世界の話だと錯覚してしまいがちです。実際僕がそうだったのですが、それはとんでもありません。世界は日本とリアルに繋がっているのです。

この旅を通して、就職活動時にSPI試験で大苦戦して面接を勝ち取る事も出来ないような常識知らずの僕が、こんな風にいろいろな事を考えるようになりました。僕は、その一連の過程を僕の視点で余す事無くこの本に書いたつもりです。元々理系人間で文才もないのでうまく表現できているかはいささか疑問ではありますが・・・

最後に、僕にとってこんなにも長いストーリーを文章で表現するのは全く初めての経験で、分かり難い表現や日本語的に間違っている部分も多々あるかと思いますが、この本を読み終わった皆さんの心に、新たなアメリカ観と、世界へ踏み出す第一歩への布石が培われているという事を心から願っています。