ドイツのシェーナウでの電力革命から学べること

「変革は、弱いところ、小さいところ、遠いところから」という本が好きなのだけど、ドイツのシェーナウで起こったことも、まさにこの本のメッセージのままだと思った。

シェーナウでの電力革命の事例ですごいと思ったこと

①自分たちを超えて意識を拡大させ、リスクを恐れず大きな権力に立ち向かったこと。チェルノブイリ原発事故をきっかけに、ドイツの小さな山間の町で、無関心な町民がほとんどで独占電力会社の牙城が堅固な中、たった10人の親たちが立ち上がり、行動し続けた。

②反対するだけでなく、政治的にも状況を引っくり返すような行動をしたこと。彼らでも最初は反対活動をした。でもそれだけでなく、節電、情報提供、提案をしつつ、それでも不十分だと悟ると、電力会社を立ち上げ、住民投票の結果で自分たちが市との契約を結ぶまでに。

③妥協せずにビジネスを成り立たせていること。彼らが扱う電力は、再生可能エネルギーとコージェネ発電のみ。原発や環境に悪い化石燃料で少しでも発電している電力会社やそれと結びついている会社とは関わらない。それでも、ドイツ全土に10万もの顧客がいる。

④地域を二分するような政治論争を市民の力で巻き起こしたこと。日本の郵政選挙でも国家が二分されたけど、あれは国民が機転ではなかった。シェーナウの事例は、市民が巻き起こしたことにすごさがある。リスクをもろともせず、ライオンのように勇敢な行動だった。

⑤個人的な仕事より、政治活動を優先したこと。このムーブメントの中心人物ウルズラ・スラーデックさんの旦那さんは医者だったが、患者が減ってでも、時には住民投票など政治活動を優先し行動した。経済活動などより政治活動を優先するべき局面は必ずあるということ。

⑥もっと先にある偉大な目標の為の「手段」として成し遂げたということ。彼らにとって、自分たちの町で電力革命を起こすことはステップに過ぎなかった。最終的なゴールはもっと先にあった。だからこそ、短期間で偉大なことを成し遂げられたのだと思う。

 

環境ジャーナリストの小澤祥司さんによれば、ドイツでは、シェーナウ電力などの再生可能エネルギーからの電力のみを提供する電力会社の電力料金は、ドイツの電力会社全体の平均の電力料金より安いらしい。

原子力や火力などで発電する施設を電力会社が持つとすると、施設の維持管理で莫大なコストがかかり、結局それが何らかの形で電力料金や税金に上乗せされて、国民の負担になる。そういう施設を持たずに小刻みに電力を売買するだけだから、結果的に電力を安く提供出来る。

シェーナウ電力のやってることは、自分たちで発電して電力を売るというよりは、家庭規模も含めた無数の顧客から、再生可能エネルギーとして発電した電気を買い取り、適正な値段で売るということだと思う。従来の独占電力会社だけに発電させビジネスをさせるのではなく、無数の市民にも起業家として発電させ儲けられる自由を促進している。

結果的に、ドイツ全土で、太陽光だけで、瞬間的に最大で原発20基分の電力を発電してしまうほどになっている。

ドイツのシェーナウでの電力革命は、「素人」だったから成し得たのだと思う。専門家には到底出来なかったこと。「いい加減な常識」に囚われた人には、行動が起こせない。「良く知らない」からこそ切り込める。突破口を開ける。

ガンジーは言った。「立派な運動はいずれも、無関心・嘲笑・非難・抑圧・尊敬という五つの段階を経るものである」と。ドイツのシェーナウでの電力革命は、この5つの段階をしっかりと経ていると思う。

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