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「理想の経営」というちょっとした連載で、いくつか例をあげながら、僕の勝手な経営の理想像を説明しています。
①オレゴン州ポートランドのフードカート:小規模でもみんなが経営者になることにより、力を発揮出来る人が増える。
②バンドマン社長・河野 章宏さんの「残響」:社員が成長することによって伸びる。
③家入一真さんのLiverty:眠っている労働力を総動員してマイクロ事業を立ち上げまくり、利益をメンバーで山分けする。
今回は、②のバンドマン社長・河野 章宏さん率いる「残響」の例。
河野さんは、2004年立ち上げた自主レーベル「残響レコード」を、10万円の資金からのスタートにも関わらず、2010年の決算ではグループ年商5億を売り上げるまでになったそうです。
6年ほどでここまで売り上げを伸ばせたのなら、かなり成功していると言えるでしょう。
 
「右肩上がり」や「前年比」は眼中になし
この残響の経営方針として特徴的なのは、「右肩上がり」や「前年比」が眼中にないということ。
どうして「前年比」を超えないといけないんですか?という日経ビジネスオンラインの記事を読んで、「なるほど」と思いました。
普通の会社は、売上など利益面での「前年比超え」を経営目標に置くものですよね。
どんな手を使ってもいいなら、前年比を超える手段はいくらでもあると思うんです。
社員や関係者に無理をさせたり、悪いことをさせたりすれば…
例えば、河野さんは以下のように例示しています。

アーティストの肉体、精神的な疲弊、現場のスタッフのやる気に目をつぶれば、「数千万円の売上を積み増せ?任せとけよ!」です。いくらでもできます。
具体的には、ライブハウス規模での興行を10本よけいに打てば、それだけで1000万円の売上が立つ。利益も500万円近く出ます。これを何組かの所属アーティストに、やらせればいいだけの話です。
皆さんご存じの「年度末になぜか大量のCDリリース」はその実例です。業界の「決算書」を見栄えよくするための都合で、アーティストが犠牲になっているのです。

でも、こういうように従業員の待遇より、会社の「前年比超え」という方針を重視するなら、いつかはその右肩上がりの結果は破たんすることになるでしょう。
「前年比」を目標にしなくても、従業員の待遇を良くし、成長をサポートすることによって、長い目で見て着実に売り上げを伸ばしていけるということは、この残響が結果で示せていると思います。
 
給料は「自己申告制」
残響が従業員に提供する待遇やサポートでユニークな点が、給料は「自己申告制」ということ。(詳しくは、「前年比」は、経営者にとって魔法の言葉なんです。を参照)
河野さんは言います。

給料を上げたければ、「今年はこれだけのことをやろうと思っていて、これだけ稼ぐのに予算がこれだけ要ります。儲けがこの額になりますから、その中からこれだけ自分の給料をください」というのが基本です。
仕事内容や給料は社員自身が決めるんです。僕から押しつけられるノルマを待っている社員は1人もいません。
一人ひとりがアイデアを振り絞って挑戦し続ければ、業績は自ずと前年を超える。数字の上での「前年比超え」に血道を上げる必要なんて、ありません。

これなら、従業員は、会社に対する帰属意識も高まるし、モチベーションを維持しやすく、更には経営の面でも主体性を持てやすいと思います。
このように、従業員の主体性やモチベーションを高め、成長を促すことによって、おのずと売り上げが伸びていくことを狙う経営方針もあり得ると思います。
それは、この「残響」が証明していると思うし、これからも証明し続けていけるのか、残響の動向を見守っていきたいです。