第19話 メキシコ入国、ティファナ・レボルシオン通りにて

ロサンゼルスよりアムトラックに乗り、サンディエゴのサンタフェ駅で下車。サンタフェ駅からメキシコ国境を目指すためには、サンディエゴトロリーに乗り換える必要がある。

サンディエゴトロリーは、サンディエゴ走を走る真っ赤な車体が印象的な路面電車で、東方面を走っているオレンジラインと北方面と南方面を走っている2系統のブルーラインの3系統がある。メキシコ国境を目指す場合は南方面ブルーライントロリーに乗る必要があるのだが、ここでも列車の乗車方法など良く分からずにしばらく立ち往生してしまい、線路付近をうろうろしているとトロリーにクラクションを鳴らされ轢かれそうになったりもしたが、しばらく辺りを観察してやっと券売機を見つけ、チケットを購入してトロリーに乗り込む事が出来た。

車内は思いの他混んでおり、すぐには座れず、途中でやっと席が空いて座る事が出来たのだが、メキシカン家族と同席という形となり、ひどく僕がここに座っている事が場違いな気がしてしまった。また、ここまで来るとさすがに日本人は珍しいのか、いろんな方向から視線を感じてしまった・・・

トロリーがメキシコ国境のサン・イシドロ駅に到着すると、トロリーを降りて人の流れに乗って国境を目指して歩いた。メキシコ入国方法は実に簡単で、実際は、
「どこが国境のゲートだろう?パスポートはどこで見せるんだ?入国審査をしているような建物が見当たらないんだけど・・・一体全体どうなっているのさ!?」
と目を走らせているうちに、実は既に入国していた事に後で気づいた程、メキシコ入国は驚くほど簡単に出来てしまった。パスポートも見せる必要がないし入国審査の係りの人さえいない。あるのはメキシコ側に行く方向にのみ回転する回転ゲートのみ。こんなのもありなのかとびっくりしてしまった。

今日もサンディエゴの新たなホテルを予約していたので、当然この時も日本から持ち込んだ全荷物を背負っていた訳だが、さすがに、その荷物の重さに体が悲鳴を上げ始めていて、観光すると言ってもレボルシオン通りを往復するくらいが限界と思われた。

レボルシオン通りは観光客向けの通りというだけあって、通りを隔ててお店がびっしり並んでいて、ほとんどすべての店の店員さんが外で客引きをしていた。どこの店員さんも盛んに僕に声をかけてきていて、驚いた事にその店員さんの話した言語は100%日本語だった。何もメキシコ人が日本語をしゃべれるのがすごい訳ではなくて、僕が日本人だと100%見抜けるのがすごいと思った。正直びっくりした!僕は一重だし中国人や韓国人に見られてもおかしくないくらいだが、ここの通りの人の経験を持ってすればそれが一瞬で見抜けてしまうらしい。どの辺で判断しているのか僕には全く分からなかった。

まぁ、声をかけられたとは言っても大抵「こんにちは」や「田中さん」とかで、高度になってくると、「シャチョさんシャチョさん!(社長さん)」とか「ちょっとちょっと、貧乏?」等になり、何故か「スケベ?」と疑問系で聞かれたりもしたし、挙句の果てにはどこで覚えたのか「100%割引ね!」と声をかけられた事もあった。思わず、「それじゃ商売にならないだろう!」と突っ込みたくなったが、残念ながらこの時の僕には突っ込む勇気がなかったのだった・・・

僕のメキシコ滞在中は特に危険な状況には遭遇せず、メキシコ人はみんな陽気で、笑いを堪えきれず思わずにやけてしまう場面がいくつもあり、楽しい思い出しかないのだが、それはティファナのレボルシオン通りだけに限った話なのかもしれない。

実際、アメリカとメキシコの経済格差は凄まじいらしく、アメリカへの不法入国を試みるメキシコ人が年間100万人以上いるらしい・・・それを受けてメキシコ政府は、国民に向けて不法入国するための方法を書いたガイドブックを公式に出版しているらしい。そのガイドブックには、コミック形式でイラストを多用しながら米国・メキシコ国境の砂漠地帯を歩いて超えるのに、どのようにして脱水をさけるかなどの方法が記載されているとの事だ。当然、アメリカ側から非難されるのは目に見えているのだが、メキシコ政府側としては、このガイドブックはアメリカへの不法入国を国民に促す目的ではなく、毎年アメリカへ不法入国してしまう国民の死亡数を抑えるためにやむを得ない措置だとしている。真相は分からないが、世界にはこういった悲惨で限りなく悲しい現実があるという事を、僕等は知っておかなければならないと思う。

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