日本の大学では、情報科学を学んだ。卒業後も、中小のIT企業に入社し、7年ほど働いた。この学歴・キャリアを選んだ理由は、就職のためでしかなかった。ちょうど就職氷河期の真っ直中で、友達の「就職にはITが一番有利」という言葉を信じて選択した。短期的な目標としては間違ってなかったかもしれない。
だけど、その時の自分は、日本の既存のシステムの中でしか生き残る方法を考えていなかった。生活するには就職するしか手段は考えられなかったし、どんなに不公正な政治、社会、経済システムがあっても、変えてやろうなんて恐れ多いことは考えたこともなかった。
そういった現状のシステムの中でしか生きられないなら、ITはまだ良い選択肢かもしれない。だけど、ITはあったら便利かもしれないけど必要不可欠なものではない。むしろ、僕の学んだ「コミュニティ開発」は、現在の社会の中では軽視される傾向があるけど、いつの時代でも実は不可欠なものだと気づいた。
政治、社会、経済などのシステムは、変えようと思えば変えられるものだし、自分が何もしなくてもどんどん変わっていくもの。その変化に翻弄されて生きるより、変化を起こす側に回った方がいい。「コミュニティ開発」は、現状のシステムの枠に囚われない、根本から変化を起こす側のキャリアの一つだと言える。
個人的には、どんなにリスクがあり割に合わないことでも、自分がやりたいことはもちろん、自分が責任を持って果たすべき使命であれば、喜んで遂行したい。30過ぎてからのキャリア転換はとても勇気のいることだけど、使命感と決意があれば、いくつになっても遅過ぎることはないと思う。
円高の影響で多くの大企業が大赤字になり、大規模なリストラが行われ、公務員もが減給の対象となり、人材が流動的になって、安定性の神話が崩れ始めた。何をやっても将来の保障はない時代に突入しているので、枠に囚われることなく、将来のキャリアの選択肢を広く持った方がいいと思う。