青春18切符と折りたたみ自転車での東北被災地輪行ツアー。
下調べした限り、計画ルート上にけっこう電車の不通区間があった。

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※この地図の赤い部分が電車が運転見合わせの部分

でも、「まぁ大丈夫だべ」と軽い気持ちでやってみたところ…
蓋を開けてみると予想以上に不便で、かなりバタバタ劇を繰り返していた。

この記事では、電車の不通区間ごとに旅を振り返る。
これらの区間は、青春18切符を持っていたのに、その恩恵を十分に(または、全く)受けられなかった区間だ。

でも、不便な思いや苦労をした分、この区間に特に思い出が詰まっている。

 

■亘理−相馬間(折りたたみ自転車 & JR代行バス)

福島駅から東北本線に乗り、岩沼駅で常磐線に乗り換えるも、終点が相馬よりもずっと手前の浜吉田駅。
浜吉田からの山下、坂元、新地、駒ケ嶺は、線路または駅ごと津波で流され、復旧の見通しが立っていない。

往路は、無謀にも折りたたみ自転車で行った。(亘理~相馬、30kmに渡る折り畳み自転車サイクリングで見たものを参照)
復路は、さすがに相馬駅前からJR代行バスに乗った。

こんなことをする人は他にいないだろうけど、現地の人々と同様の不便を体験するのも今回の旅の目的の一つだった。
ちなみに、去年のGWの仙台まで往復サイクリングツアーでも、実は坂元駅から北へ自転車を走らせたことがある。

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■松島−矢本(JR代行バス)

日本三景の松島から矢本駅までも電車は現時点ではまだ不通。
その間、9つの駅があり、JRの代行バスが走っている。

実は、前回の東北ツアーで途中まで自転車で走ったのだけど、所々津波で完全に流されていて、再び鉄道を通すにしても、同じルートではとても無理そうだった。

矢本駅からは電車は走っている。

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■浦宿−女川(折りたたみ自転車)

石巻駅でビジネスホテルにチェックインし、早速、石巻線で女川に向かった。
震災前は、石巻線の終点は女川駅だった。

だけど、震災で女川駅が壊滅的な打撃(駅もろとも周辺のものすべてが津波に流された)を受けたので、その手前の浦宿駅までしか行けなかった。
浦宿駅からはJRの代行バスが通っていたけど、あえて折りたたみ自転車で女川を目指した。

iPhoneのGoogle Mapsを頼りに向かったが、女川町に入ると、建物も道路も、地図にはあっても実際に無いものばかりで、GPSが全く機能しないエリアがあった。

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■柳津−志津川−気仙沼−盛(BRT:バス高速輸送システム)

石巻線で北へ向かい、前谷地駅で気仙沼線に乗り換えた。
気仙沼線も震災で壊滅的な打撃を受け、大部分が不通になっている。

不通区間は、バスはバスでもBRTというバス高速輸送システムが代行運転している。
当初、BRTは全部の区間で専用路線を走るもんだと思っていたけど、そうではなかった。バス停の区間が長く、出来る限り専用路線を走ることによって、高速輸送を実現するシステムということだった。

途中、元々電車が通っていた線路をコンクリートで固めてBRT専用として通れるようになっていた。
その他はほとんど自動車と共用道路を走ったけど、それほど渋滞は起きていなかったので、全体的に快適だと感じられた。

バスの車窓からは痛ましい光景が広がっていた。
想像を軽く超えるほど被害が広範囲に及んでいるため、2年半経っても手がつけられない部分が多いのは分かるような気がした…

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■吉浜−釜石(路線バス)

ここは、この旅で最もハラハラした区間。

気仙沼船BRTまでなら公共交通で海岸線沿いを北上する人は普通にいると思う。
だけど、そこから先はなかなかいないと思う。
盛−釜石のルートを乗り換え案内でいくら調べても、一度、東北本線まで戻る遠回りルートしか出てこない。

僕は、この日、大槌の近くの浪板海岸前の民宿で宿泊予約をしていた。
もしかしたら、遠回りした方が早く着いてたかもしれない。
スマホを駆使して路線バスなどの時間を調べたらギリギリの状態で、かなりきわどい決断を迫られていた。

気仙沼線BRTの終点の盛駅からは三陸鉄道の南リアス線が出ている。
だけど、こちらも津波の影響で途中の吉浜駅までしか行かない。
吉浜駅からは路線バスでなら釜石まで行ける。
だけど、釜石からまた最終の路線バスに乗らなければならない。

乗り換え地点で一回でも乗り遅れれば間に合わない状況で、僕は賭けに出た。

吉浜駅で路線バスが来るまで1時間以上時間をつぶさなければならなかった。
吉浜駅周辺は驚くほど何もないところで、かろうじて個人商店が空いていて、夕食にこぎ着けられた。
誰も来る気配のない吉浜駅の待ち合い室で、宿まで辿り着けるのか不安になりながらも時間を潰していたのをよく覚えている。

そんなこんなで、吉浜が、津波の甚大な被害を受けながら、行方不明者1人、家屋全壊・流出4棟という最小被害で済んだことで、「奇跡の集落」と呼ばれる場所だということを知ることが出来た。
ただ、吉浜から釜石までの距離も去ることながら、路線バスの料金が800円以上したことに驚きを隠せなかった…汗

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■釜石−浪板海岸(タクシー)

スマホを駆使して調べた限りでは、釜石から最終の路線バスで、宿泊場所近くまで行ける予定だった。
でも、この区間は「タクシー」と書いてあるからには、予定が狂ったということだ。

何があったかと言うと…
とても苦い思い出なので、出来れば思い出したくない…

あれは、釜石駅近くで路線バスを下車した時だった。
何か駅から少し離れた大通り沿いに降ろされたことを不思議に思いながらも、僕は釜石駅前に向かった。

乗り場が「釜石駅前」と書いてあるからには、釜石駅の真ん前か少なくともロータリーのどこかだという固定観念を持っていた僕は、見事にハマった。
バスの到着時刻になっても一向にバスは来ない。
2分、5分、10分、15分と過ぎてもバスは来ない…

どうやら、バスの乗り場を間違えたらしい…
正しくは、さっき吉浜からの路線バスを下車した大通り沿いのバス停が正しかったらしい…
時間的には十分間に合ってたけど、まさかバス停の場所を間違えるというオチがあるとは。。。

頭が考えることを拒否していたけど、やがて観念してタクシーに乗り込んだ。
目的地まではまだけっこうあって、5000円ちょっとかかった。
まぁ、元々、被災地にお金を落としてくる目的もあったから、その一環として考えればいいかなと思うようにした。

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浪板海岸−道の駅やまだ(自転車)

まだまだ電車の不通区間は続く。
元々、釜石から宮古まではJRの山田線が通っていたが、津波の影響で復旧の見通しが立っていない。
タクシーの運転手が言うには、元々、震災前も赤字路線で、JRが復旧をためらっているらしい。

それも、この区間はJRの代行バスも通っていない。
乗り換え案内で調べてみても、一度、花巻まで戻って東北本線経由で移動するルートが出てくる。

しかも、路線バスで行くにも、道の駅やまだで別の路線バスに乗り換えなければならない。
現地で暮らす交通弱者の人々はとても不便を強いられていると感じたし、電車での旅行者でもわざわざこのルートを選ぶ人は少ないだろう。

宿泊したタカマス民宿を後にして、さらに海岸線沿いを北上する路線バスの時刻を調べてみると、次のバスがくるまでに1時間くらいあった。
ということで、浪板海岸から道の駅山田まで7.5kmほど、のんびり折り畳み自転車で行くことにした。

民宿のおばちゃんは、その道中は高低差はそれほどないと言ってたけど、実際は結構あった。
車ではそれほど感じない高低差でも、自転車はモロに感じるものだということを再確認した。

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道の駅やまだ−宮古(路線バス)

釜石-宮古の電車不通区間の中間である道の駅やまだから路線バスに乗り、三陸鉄道の北リアス線の始点となる宮古駅を目指した。

この路線バスはけっこうな旧型で、通路が狭く、折り畳み自転車の置き場に困った。
バスは進むにつれて車内が混んできたので、通路をふさがないように一番後ろの席に移動した。
通路で立っている人もいるなか、一番後ろの席を3席分も占領してしまって申し訳なかった…

この区間でも、バスの車窓から津波の爪あとが見て取れた。
瓦礫はなくなったとはいえ、元々あったものが無いままになっている。
それも、それが、現地の人々にとっては日常になってしまっているようだった。

旅行で一度行ったくらいでは、現地の人々の心境や悲しみの深さなど、到底分かることが出来ない。
そんな中途半端な状態で無理に支援活動をしようとしても、かえって混乱を招くだけかもしれないなと思った。
あくまで、復興を主導するのは現地の人たちであるべきだ、なんてことを考えながらバスの車窓から見える風景を見ていた。

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番外編:小本-田野畑(十分に時間が無かったので断念…)

NHKの朝の連続テレビ小説で大人気の「あまちゃん」の舞台を走る北三陸鉄道の北リアス線。
ここでも、一部、電車が不通の区間がある。
それでも、南リアス線も含めて、来年の4月頃には北鉄の不通区間が解消されるらしい。
地方鉄道の地元意識や情熱のようなものを感じる。

現時点では小本からは代行バスが通っている。
出来れば、あまちゃんの舞台の久慈駅や小袖海岸に行ってみたかったんだけど、時間的に無理だということが分かり、予定を変更して小本で折りたたみ自転車を広げ、チョイ乗りを楽しむことにした。

輪行の旅なら、こういう風に柔軟に予定を変更しても行動範囲も楽しみも広がる。
しかも、今回は釣竿も持って行ったので、小本の釣具屋で餌を買い、堤防で釣りを楽しむことが出来た。

本当はあまちゃんの舞台の小袖海岸の堤防で釣りしたかったんだけど、まぁ、小本でも北三陸で釣りしたことになるかなと自分を納得させた。

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こうしてみると、今回の旅で一番印象に残っているのは、電車に乗っているときでも自転車に乗っているときでもなく、この電車の不通区間で大変な思いをしてでも海岸線沿いを攻めたことだったかもしれない。

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