みなさんは、交通のスピードが速くなると、人々の移動に費やす時間は短縮されると思いますか?

これは、以前参加したフォーラムで講演をしたウィーン工科大学の教授のハーマンさんが問いかけたことです。

ここ何十年かで、人類は、テクノロジーを結集し莫大な費用を投じて、「高速移動」を実現してきました。

こういった投資は、人々の「時間の節約」という名目で行われてきたと思うんですが、結果的に、僕等の移動に費やす時間は短縮されたのでしょうか?

450万年と言われる人類の歴史で、その大部分を「歩く」「走る」で過ごしてきた人類にとって、実は、この移動速度の変化は劇的過ぎるものなんです。

1955年と80年代までで走行速度は10倍に伸びたそうです。

しかし、実は、一日に人々が移動に費やす時間(旅行時間)はほぼ同じだった、という調査結果をハーマンさんは紹介してくれました。

しかも、都市の渋滞はひどくなり、長距離通勤をする人も増えて、むしろ、移動時間は伸びているそうです。

スピードが上がって移動距離は伸びました。
遠くまでショッピングに行けるようになったし、遠くの職場まで行けるようになりました。

しかし、徒歩で行ける範囲では生活できなくなってしまったのです。

もちろん一概には言えないと思いますが、この視点で見れば、これまでの投資効果は「ゼロ」か「マイナス」になるのかもしれません。

もしかしたら、この事実は、人類の無知を厳然と証明しているのかもしれませんね・・・