宇都宮浄人さんの「路面電車ルネッサンス」という本の帯に書かれていた文句です。

ちなみに、帯の裏には、次世代型の路面電車(LRT)のキーワードとして、「M.A.F.F.I.A」を紹介しています。(あまり良くない言葉ですが、覚えやすいですよね。笑)
ちなみに、このキーワードは、下記の略です。

M=”Medium capacity transit” (連結運転でバスより大きい輸送力)
A=”Accesibility” (バリアフリーで乗り降り簡単)
F=”Frequency” (5分に一本、「待たずに乗れる」)
F=”Frexibility” (乗り換えなしで、郊外と市街地直結)
I=”Inexpensive” (建設コストは地下鉄の約10分の1)
A=”Amenity” (市街地が楽しく便利に生まれ変わる)

どれも納得出来るし、むしろ、次世代型の路面電車について僕が形にしたかった利点を絶妙にまとめているなと思って感激しました。
まぁ、これだけでは路面電車の真髄が伝わらないかもしれないので、もし興味を持ったら、彼の本を読んでみて欲しいです。

ちなみに、路面電車のルネッサンスの歴史に、自動車社会まっしぐらだったアメリカが大きく関与していたことにびっくりしました。
大まかには知っていたのですが、このルネッサンスの起爆剤は、サンディエゴのトロリーなのだそうです。
サンディエゴの路面電車にゴーサインが下ったのは、1978年10月25日だそうで、僕の生まれるちょうど一ヶ月前です。
だから、路面電車のルネッサンスの歴史は、ほぼ僕の人生と同じ長さということになります。

また、サンフランシスコでは、ウォータフロント沿いを走っていた二階建ての高速道路を、1989年の大地震を機に一気に取り壊して、路面電車中心の都市再開発を行ったそうです。
その高速道路は、わずか30年足らずで取り壊されたらしいのですが、これってすごい大英断だと思いませんか?
だって、道路が地震で痛んだからって、補修すればまだまだ使えたんですよ。
僕は、この間のサンフランシスコ滞在中に、この辺りにも行ったのですが、賑やかで明るくて、とっても良いところでした。
かつては、治安の悪い、倉庫が立ち並ぶ、暗い場末だったそうですが、そんなことは想像も出来ませんでした。

さらに、この本では、僕が今留学しているポートランドの事例がモデルとして紹介されていました。
僕はこの街に住んでみて体感したんですが、間違いなく路面電車が街の活性化の原動力になっています。

ポートランドでは、この本でも紹介されている「交通権」という意識がとても高いです。
交通は「権利」であり、消防や警察などの公共のサービスと同等に、平等に守られるべき権利という考え方です。
車中心の車ひいきの社会では、到底達成することの出来ない権利ですよね。
だって、車に乗れない障害者や子供、お年寄りなどは、平等に交通の機会を持つことが不可能ですから。

だから、公共交通を、「採算が取れるか取れないか」というビジネス的に考えていること自体が大きな間違いのような気がしています。
逆に言えば、道路や駐車場への車への投資で採算が取れているかというと、これが実は壊滅的な結果だったりするんですよね。
既に、想像を絶するほどの補助金が車中心の社会の為に費やされ、その補助金の元は、僕たち国民の税金なんですよ。
こんなことがあっていいと思いますか???

実は、公共交通を便利にして、市民の間で平等にAccessibility(アクセスのしやすさ)を高めれば、いろんな可能性が広がるんですよね。
人が集まるところに文化が生まれ、可能性が広がり、価値が生まれるものだと、個人的には思います。
ここではこの考えについて深く掘り下げませんが、そうだとしたら、どの人も、物理的な移動が出来る可能性が高まれば、より多くの人が集まる可能性が高まり、それだけ可能性が広がるということなんです。
この効果をお金に換算することは出来ませんが、この効果を過小評価することも出来ないと思うんです。
移動するかどうかはその人の勝手ですが、その選択肢があるということが重要なんです。

香港に行っても、サンフランシスコに行っても、ポートランドに住んでみてもなんですが、交通の選択肢がたくさんあって、すごく外出するモチベーションが高まるんですよね。
路面電車は、その選択肢の一つに過ぎないのですが、香港では、地下鉄の路線上に、フェリー、路面電車、バスという豊富な選択肢があり、地下鉄が高いと感じれば、のんびり安いフェリーに乗ったり、路面電車に乗って移動することも可能です。
もっと言ってしまえば、徒歩ならお金はかかりません。
サンフランシスコは、歩いているだけで楽しい街なので、ほんと歩きでいいかもしれませんね。

ポートランドは、それに加えて、自転車という強力な選択肢を持ちやすい街の構造になっています。
アメリカで一番自転車で走りやすい街として知られていて、自転車専用レーンがかなり豊富です。
それに、自転車をバスや路面電車に乗っけることが出来るので、それだけでかなり広範囲の移動が可能になります。
このコンビネーションで、既にポートランド都市圏の中をかなり広範囲に行きましたね。

いろんな権利が最低限にも守られていないことが、世界の状態を悪化させていると思うんですが、その中の権利のひとつが、この「交通権」だと僕は思っています。
僕の生涯の使命とは、この権利にすごく関わっていると思っています。
その使命を果たす有力なツールが、この「路面電車」だというところまでたどり着けたと言えるのかもしれません。

みなさんもぜひ、路面電車について正しく知り、理解を深めて欲しいなと思います。
市民の意識と正しい認識が、それぞれの街での交通の在り方を変える重大な原動力になります。